
「給与明細に0円の文字があったとき、息が止まりそうだった」
都内の有名ラーメンチェーン店で働いていたミャンマー人女性(28)が、給与からの天引きによって「初任給が0円」だったとして、店舗側を労働基準法違反などで提訴する準備を進めていることがわかった。
女性は2021年のミャンマー軍事クーデターを逃れて来日。日本語学校を経て「特定技能」の在留資格を取得し、都内のラーメン店「三ツ矢堂製麺」に就職した。
ミャンマーでは、当時アウンサンスーチー氏の政権が軍によって武力で排除され、多くの市民が弾圧を受けるなど、民主主義が一夜にして崩壊した。

写真:CNN
彼女もその混乱と恐怖の中で国外への避難を余儀なくされた一人だった。
そんな彼女が、入社後の給与明細を確認すると、寮費・光熱費・制服代などの名目で全額が天引きされ、手取り額は実質0円に。生活費すらままならず、労働組合や弁護士に相談したところ、「明らかな不当行為」と判断された。
さらに女性は、上司から「あなたはこの店に合わない」と繰り返しLINEで退職を促されたという。会社側からの一方的な退職強要により、精神的にも追い詰められたと話す。
「私たち外国人は、言葉がうまく話せないというだけで、人間として扱ってもらえないことがある」
女性は現在、労働組合とともに損害賠償を求める準備を進めている。
この件は、外国人労働者の処遇をめぐる制度の根本的な課題を浮き彫りにしている。特定技能や技能実習といった在留制度のもと、受け入れ企業による労働環境の悪化や不当な天引きが以前から問題視されていた。
労働問題に詳しい専門家はこう指摘する。
「こうした天引きは法律で厳しく制限されています。本来、明細の説明責任も企業にある。見過ごされがちですが、深刻な人権問題です」
法務省や厚生労働省は、この問題を受けて外国人労働者の保護制度の見直しを検討しているという。
給与天引きで初任給0円 ミャンマー人女性が「三ツ矢堂製麺」を提訴 | 毎日新聞勤務していたラーメン店「三ツ矢堂製麺」から違法な天引きを受けたとして、特定技能制度を利用して来日したミャンマー人の女性(28)が運営会社(東京都渋谷区)を相手取り、未払い賃金など計約170万円の支払いを求める訴訟を東京地裁に起こした。運営会...
こうした問題は、日本国内だけでなく今回で言えばミャンマーなどでも問題になりそうだ。国内での外国人への対応はより一層重要になるだろう。
コメント